洗剤の成分とその効果
- sk-service-inc
- 3月21日
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市販の洗剤を購入して商品のラベルを見ると、含まれている成分が必ず記載されています。
代表的なもので「界面活性剤」、「高級アルコール系」、「金属封鎖剤」などなど・・・。文字を見ただけでは一体どのような物なのかよくわかりませんよね。
今回はこれらがどのようなもので、どのような目的を持って用いられているのかについて成分の分類に焦点を絞って見ていきたいと思います。
界面活性剤
洗剤の主成分や補助成分として使われているのがこの界面活性剤です。
「洗剤」とは界面活性剤の力で汚れを落とすものの総称で「洗剤」と名の付くもの全てにこの界面活性剤が入っています。※それ以外の酸やアルカリ等の成分で汚れを落とすものは「洗浄剤」に分類されます。
界面活性剤は水と油を混ざるようにする効果があり、それによって油汚れを浮かせて落としやすくします。また、泡立ち効果によって汚れを浮かせ、対象物の摩擦による傷つきや摩耗を防ぎます。
化学繊維やプラスチック等の水を弾いてしまって浸透出来ない素材でも濡れるようになるため、水が汚れに浸透しやすくなって汚れが落ちやすくなります。
落ちた後の汚れは界面活性剤が持つ再付着防止効果によって汚れが再び付着してしまうのを防ぎます。
界面活性剤の成分は一つではなくて多くの種類があり、主成分として汚れを落とす目的に使われる界面活性剤とは別に手荒れ防止や泡立ちを目的に添加される界面活性剤もあります。
このように界面活性剤には様々な効果があって非常に優れた成分となっています。
【高級アルコール系の界面活性剤について】
陰イオン系と呼ばれる分類に属する界面活性剤を指します。(アルキル硫酸エステルナトリウムやアルキルエーテル硫酸エステルナトリウムなど)
洗浄力、泡立ち、溶解性に優れ、手荒れも少なく、硬水でも安定します。温度の影響も受けにくく低温でも水によく溶けるので洗濯用や台所用の液体洗剤などによく用いられています。
金属封鎖剤
キレート剤とも呼ばれる成分でカルシウムイオンや金属イオンと結合して不活化し洗剤が変色・変質するのを防ぐ目的で配合されています。また、お風呂用洗剤やトイレ用洗剤では水あかや石鹸カスなどを落としたり、再付着するのを防ぐ目的でも配合されています。
泡調整剤
洗剤は泡立ちが良ければ泡が汚れを浮かび上がらせて引き離すことで洗浄を助けてくれる効果が期待出来ますが、過剰に泡が立つと洗い流す際に洗剤分と共に汚れがかえって残りやすくなってしまったり、泡だけが大きくなって広がりすぎてしまったりといった不都合が生じます。また、場合によっては泡がたたずにすぐに消える方が都合がいい場合もあります。
この様な不都合を避けるために洗剤を使う状況に応じて泡立ちをコントロールして安定させる成分が泡調整剤です。
気泡力を高める目的では主に非イオン系の界面活性剤が用いられます。また、泡を抑える目的ではシリコンや石鹸などが使われています。
アルカリ剤
洗っている最中に酸性の汚れによって界面活性剤の効果が弱まってしまうのを防ぎ、汚れ落としを助ける助剤として添加されているのがアルカリ剤です。
汚れに含まれるタンパク質を分解したり、油汚れに含まれる脂肪酸を石鹸に変えて汚れ落ちを助ける効果もあります。
酵素
汚れ成分を分解して界面活性剤の汚れ落としを助ける目的で配合されるのが酵素です。
酵素には種類があり、汚れに含まれるたんぱく質、デンプン質、脂質を分解したり、繊維の奥に入り込んだ汚れを落としやすくするものがあり、それぞれの目的に適した種類の酵素が配合されます。
溶剤
界面活性剤だけでは落ちない変性した油汚れを溶かして落とすために配合されます。
漂白剤
色素汚れを酸化の化学反応によって分解する成分です。
洗剤の助剤として使われるのは主に「酸化型」の酸素系漂白剤となっています。漂白効果が穏やかなため色物衣類等にも使え、頑固な油汚れの除去にも効果があります。
同じく酸化型の塩素系漂白剤は漂白力が強く衣料等に使うと色落ちする可能性があるので使えません。単体でカビ取り剤等に用いられるのが一般的です。
酸化型が酸素を加えるのに対して酸素を奪って漂白するのが「還元型」と呼ばれる漂白剤です。色物の衣料などに使うと色落ちする可能性があり、基本的には白物の衣料にしか使えません。
また、還元型の漂白剤には鉄さびを落とす効果があります。鉄が空気や水と反応して酸化することでできるサビから酸素を奪ってサビを落とします。
水軟化剤
水の硬度は金属イオンのカルシウムイオンとマグネシウムイオンの含有量で決まります。これらが多く含まれるほど硬度が高い水(硬水)と表現します。
界面活性剤はこれらの金属イオンと結びつくと洗浄効果が落ちてしまう性質を持っています。また、汚れや繊維に金属イオンが結合すると落ちにくい頑固な汚れになってしまいます。
つまり、金属イオンが少ない硬度が低い水(軟水)が洗浄に向いていることになります。
水の硬度には地域差があるため、硬度が高い水を使った場合には界面活性剤が本来の能力を発揮できません。
水軟化剤は金属イオンを除去して水を軟水にすることで界面活性剤が活動しやすい環境にし、洗剤本来の洗浄力発揮を助けているのです。
蛍光増白剤
洗濯用洗剤に使われる染料の一種で目に見えない紫外線を吸収して目に見える青白い光に変える効果があります。
これを使うことで落としきれない汚れを白く見せることが出来ます。主にワイシャツ等の白物衣料の洗濯に効果を発揮しますが、グレーなどの淡色の物に使うと色味が変わってしまう場合があるので注意が必要になります。
除菌剤
除菌剤は殺菌効果のある漂白剤や銀イオンなどです。洗剤自体にもある程度の除菌効果がありますが、これらを添加して追加の除菌効果を狙います。
PH調整剤
洗剤のPHを安定させて品質を維持する目的で添加されています。
再汚染防止剤(分散剤)
汚れを水中に分散させたり、汚れと繊維を反発させたりして一度落ちた汚れが再付着するのを防ぎます。
安定化剤
洗剤の品質が長期間安定するように添加されています。
増粘剤
洗剤を扱いやすくするために粘り気を増します。垂直になった場所等に洗剤を用いる場合に洗剤分がとどまりやすくなります。
まとめ
洗剤の成分とその効果については以上となりますが、いかがだったでしょうか。
洗剤の成分にはどのような物があり、それがどのように役に立つかを知ることがとても重要なことにお気づきになったのではないでしょうか。
洗剤を選ぶ際や使われる際にはラベルに表記された成分を是非気にしてみてください。その成分にどのような効果があるのかが少しだけわかるようになっているはずですよ。